嘱託しょくたく)” の例文
彼は一八八四年の夏、政府の嘱託しょくたくを受けて古美術を研究するためにここに来た。そうして法隆寺の僧にこの廚子を開くことを交渉した。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
研究員として満鉄から嘱託しょくたくせられるのではなく、シラトリ先生の私的の助手のような形で、それに参加することにした。
学究生活五十年 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
「あれならお父さんも知っているさ。ふん、あの人かい? 専売局せんばいきょく嘱託しょくたくだろう? 安煙草の名を読み込んだ手際は秀逸しゅういつだと思って常々敬服しているよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
博士は某官庁の嘱託しょくたくになっているから、何かの用件で地方へ出張するのであろうと想像したのであった。
怪獣 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一馬はツーリストビュロオの嘱託しょくたくなのである。宣伝文化の企画に参与するのだそうだ。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
内務省嘱託しょくたくの法医学者バアナアド・スピルスベリイ卿が法廷へ出張して、湯を張った浴槽を持ち出し、海水着を着たロンドン病院の看護婦を相手に、スミスの犯罪を実演してみた。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
戦争中私は日本映画社というところで嘱託しょくたくをしていた。
堕落論〔続堕落論〕 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)