唐草蒔絵からくさまきえ)” の例文
ここに、小さな唐草蒔絵からくさまきえの車があった。おなじ蒔絵の台を離して、ながえをそのままに、うしろから押すと、少しきしんで毛氈の上をすべる。それが咲乱さきみだれた桜の枝を伝うようで、また、くれないの霞のなみを漕ぐような。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)