唐琴からこと)” の例文
「墨菊太夫は、わが家の女房——小菩薩太夫は、光悦どのが苦々しかろう。唐琴からこと太夫も……いけないな、ちと、さしあいが悪い」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いち樂所がくそにかきならす眞玉またま唐琴からこと
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
いつ聞いても、それがいっこう「新説」でないかえしである証拠には、席にしている唐琴からこと太夫も墨菊太夫も小菩薩こぼさつ太夫も、またほかの酌人や、物運びする女たちまでが
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わけても、伝右衛門が眼をひかれたのは、一隅に置かれてあった十七絃の唐琴からことと小鼓であった。明珍みょうちん作りの南蛮鉄に銀の吹返ふきかえしのあるかぶとは、そのわきの具足櫃ぐそくびつのうえに常住の宝物のごとくすわっていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)