唇歯輔車しんしほしゃ)” の例文
これで助かっていることは言うまでもない。この唇歯輔車しんしほしゃの関係が未だに続いている。二人で有志懇親会の発起人を承わると、僕が回章を書いて、菊太郎君が会計方を勤める。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これが吾人日本国民の目的である。即ちこの目的に向って支那は何処どこまでも我が日本の侶伴りょはんたるべきである。いわゆる唇歯輔車しんしほしゃである。これ空論に非ず。実に唇亡びて歯寒し。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
雲仙温泉が多く外人を迎えているに引かえ(古湯ふるゆは内地人専門ではあるが)小浜は内地人で栄え、雲仙と共に唇歯輔車しんしほしゃの関係にある。雲仙探勝は小浜を根拠とするも悪くはない。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
他年煢々けいけい孤立、五洲の内を環顧するに一の同種の国なく一の唇歯輔車しんしほしゃ相倚あいよ相扶あいたすくる者なく、徒らに目前区々の小利をむさぼりて千年不滅の醜名を流さば、あに大東男児無前の羞に非ずや。
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)