咳声せき)” の例文
平常は病をいたわられて、季節変り、朝夕の寒暑にも、立ちどころに咳声せきを増し、よく熱など出す弱体が、この炎暑に、粗食をつづけ、兵や軍馬と共に歩み
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真っ黒な煙を、天飇てんぴょうから、たたきつけてくる。十八公麿は、車の中で、しきりと、咳声せきをして苦しがっていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広い大宴席に咳声せきひとつ聞えなかった。気をのまれた形でもあろう。董卓は、俺に反対する者などあるわけもない——といったように、自信のみちた眼で眺めまわした。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)