咯血かつけつ)” の例文
不思議の事も候ふものかな、小生が大兄の夢に入り候ふ前、一日小生咯血かつけつの事あり、今日やう/\此筆を執る位に相成候。一種の霊的感応と存候。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
る、宮は行き行きて生茂おひしげる柳の暗きに分入りたる、入水じゆすいの覚悟にきはまれりと、貫一は必死の声をしぼりてしきりに呼べば、咳入せきいり咳入り数口すうこう咯血かつけつ斑爛はんらんとして地にちたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
法悦を求めて精進してゐる間、二度も三度も咯血かつけつしました。そのうち、Oさんの衣服が一枚二枚と少なくなつてゆくに気がついた平尾氏は、理由わけを訊きました。Oさんは何気ない調子で答へました。
恋妻であり敵であった (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)