和気藹々わきあいあい)” の例文
お宅が芝居のおけいこばになっているから見に来てくれるようにとおことづてのあったおり、わたくしは何ともいえぬ和気藹々わきあいあいとしたものを感じました。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかるに、家の中の空気は、和気藹々わきあいあいとして、今まで三人で世間ばなしでもしていたらしい様子である。どうも、飛んでもない人違いではないかしら——。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
和気藹々わきあいあいとしている。で、僕はこの無邪気な正則な人たちの中に、しばらくのあいだ同類として隠れていられるのを、嬉しくありがたく思っていたのですね。
流行歌を教え合ったり、善く言えば和気藹々わきあいあいと、悪く言えばのろのろとやっているのに、この竹さんだけは、塾生たちが何を言いかけても、少し微笑ほほえんであいまいに首肯うなずくだけで
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
僧門のうちだけは、すくなくとも、闘争や陥穽かんせいの実社会とはちがって、きよく、気高く、和気藹々わきあいあいとして生活の楽しめる世界であろう——と彼女は善信にとつぐ日まで信じていたのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)