咄々とつ/\)” の例文
彼は人類を軟骨動物と思做おもひなし、全く誠信なく、全く忠誠なく、心宮中に横威を奮ふ一種の怪魔が自由に人類を支配しつゝありて、咄々とつ/\、奇怪至極の此社界かなと観念し来りて
扉をとざして鳩首きうしゆ密議する三個の人影を見る、目を閉ぢて沈黙する四十五六とも見えて和服せるは議長の浦和武平ぶへい、眉をげて咄々とつ/\のゝしる四十前後とおぼしき背広は幹事の松本常吉
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
見習士官の詞と、薄暗いランプの光と、自分の思量と、いやにがらんとした部屋とから、陰気なやうな、咄々とつ/\人に迫るやうな、前兆らしい心持が心の底にきざして来た。併し強ひて答へた。