“吸飲”の読み方と例文
読み方割合
すいのみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女の一寸した手不調から、吸飲すいのみの水が口のはたにこぼれかかっても、彼は黙っていた。彼女の言葉や彼女の為す凡ては、宛も彼自身の一部であるかのようだった。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
余はその少し前に、さいの手から吸飲すいのみを受け取って、細長い硝子ガラスの口から生温なまぬるい牛乳を一合ほど飲んだ。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
午後、彼女は吸飲すいのみを取って啓介に含嗽をさした。うっかりしていた拍子に、吸飲の水を啓介の頬から蒲団へ少し垂らした。「いやに冷淡になったね、」と啓介は皮肉らしい調子で云った。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)