ども)” の例文
と、まないたに向った処——ふなたいのつくりものに庖丁を構えたばかりで、うろこを、ふき、魚頭を、がりり、というだけを、どもる、あせる、狼狽うろたえる、胴忘れをしてとぼん、としている。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は四十五、六歳の、いかにも質朴らしい男で、日に焼けている頬をいよいよあからめながら、この不慮の出来事に就いて自分はまったくなんにも知らないとどもりながらに釈明した。
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と、淳朴じゅんぼくな仏師が、ややどもって口重く、まじりと言う。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)