向畠むこうはた)” の例文
清水の向畠むこうはたのくずれ土手へ、萎々なえなえとなって腰をいた。前刻のおんなは、勿論の事、もう居ない。が、まだいくらほどの時もたぬと見えて、人の来てむものも、菜を洗うものもなかったのである。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)