名残惜なごりを)” の例文
旧字:名殘惜
今は銀之助も名残惜なごりをしいやうな気に成つて、着た儘の襯衣シャツとズボン下とを寝衣ねまきがはりに、宿直の蒲団の中へ笑ひ乍ら潜り込んだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
名残惜なごりをしいやうな気に成つて、つめた心地こゝろもちの好い朝の空気を呼吸し乍ら、やゝしばらく眺め入つて居たが、不図胸に浮んだは蓮太郎の『懴悔録』、開巻第一章
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『皆さんも最早もう十五六——万更まんざら世情ものごゝろを知らないといふ年齢としでも有ません。何卒どうぞ私の言ふことを記憶おぼえて置いて下さい。』と丑松は名残惜なごりをしさうに言葉をいだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)