合邦がっぽう)” の例文
その権十郎が今度の狂言では合邦がっぽう立場たてばの太平次をするのですから、権ちゃん贔屓は大涎れですが、藤崎さんは少し納まりません。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんでも、神崎かんざきの遊女をひかせて、難波なにわ合邦がっぽうつじあたりに囲っており、そこから通っているのだと、長屋中ではいっていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この間も文楽ぶんらく合邦がっぽうで玉手御前が犠牲になるところを見ましたが、思想的に共鳴するとしないとにかかわらず、いちばんわれわれを動かすのは
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「とんだ合邦がっぽうさね。やってきたのは娘じゃなくて、ジジイなんだとさ。ヤ、コンバンハ」
街はふるさと (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「君、此処だよ。合邦がっぽうつじ※魔堂と書いてある」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
というのは、文久二年の市村座の五月狂言は「菖蒲合仇討講談しょうぶあわせあだうちこうだん」で、合邦がっぽうヶ辻に亀山の仇討を綴じあわせたもの。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
翌二十四年の一月には鳥越とりこえの中村座に出勤して、一番目の「八陣はちじん」で主計之助かずえのすけ、中幕の「合邦がっぽう」で俊徳丸、二番目の「しのぶ惣太そうだ」で松若をつとめていたが、舞台の活気はすこしも衰えなかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)