又六またろく)” の例文
足利七代の将軍義尚よしひさの時まで世を茶にしておいでなされた一休が、杉葉たてたる又六またろくかどと仰せられたも酒屋で、杉の葉を丸めて出してある看板だそうにございます。
いつでも飲みたいという人が沢山に出てこなければ、造り酒屋は商売として成り立つはずもなく、また又六またろくなどと呼ばれる取売店とりうりみせが、繁昌はんじょうするようにはならなかったわけでもある。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
作人さくにんは本所緑町の仏師又六またろく、大した腕のある男じゃねえが、あの普賢菩薩だけは、後光が射すような出来だ。そのうえ木戸番のお倉てえのが滅法いい女で、小屋は割れっ返るようないりですぜ」
「え、それからもう一人、有馬屋の番頭——菊石あばた又六またろくが——」