卯時うのとき)” の例文
卯時うのときばかりに、篠、傘をも差さず、濡鼠ぬれねずみの如くなりて、私宅へ参り、又々検脈致し呉れ候様、頼み入り候間、私申し候は
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「この辺の下人、承はれ。殿の御意遊ばさるるには、明朝、卯時うのときまでに、切口三寸、長さ五尺の山の芋を、老若各おのおの、一筋づつ、持つて参る様にとある。忘れまいぞ、卯時までにぢや。」
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
翌朝、眼がさめると、すぐに、昨夜の山の芋の一件が、気になるので、五位は、何よりも先に部屋のしとみをあげて見た。すると、知らない中に、寝すごして、もう卯時うのときをすぎてゐたのであらう。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)