千束ちつか)” の例文
恋歌こいか艶書えんしょ千束ちつかにあまるほどであったが、玉藻はどうしてもその返しをしないので、実雅はしまいにこういう恐ろしいことを言って彼女をおびやかした。自分の恋を叶えぬのはよい。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
よし送り送りて千束ちつかにも余れ、手に取るからのけむぞとあなどれる貫一も、かつて宮には無かりし執着のかばかりなるを謂知いひしらずあやしみつつ、今日のみはすぐにもかざりしその文を、一度ひとたびひらき見んと為たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)