いたわ)” の例文
人情なればこの婦人をいたわりてやるはずなれど、大犯罪人前にあり、これゆるがせにすべからずと、泰助は急ぎ身支度して、雪の下へと出行きぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘がかないのを、優しく叱るらしく見えると、あいあいとうなずく風でね、老年としよりいたわる男の深切を、嬉しそうに、二三度見返りながら、娘はいそいそと桟敷へ帰る。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
半纏はお若が心優しく、いまわの際にもいたわってその時かけて行ったのであろう。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
余所よその子供の世話を焼くひまに、自分のに風邪をかせないように、外国の奴隷に同情をする心で、御自分お使いになる女中をいたわってやって欲しいんですが、これじゃ大掴おおづかみのお話です
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)