例えば禁止時代の切支丹伴天連きりしたんばてれんに対するごとく、甚だ精確ならざる風評と誇張とが、ついて廻ったのを遺憾とするばかりである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「はなはだ卒爾そつじなお尋ねにござりまするが、切支丹伴天連きりしたんばてれんの魔法を防ぐには、どうしたらよろしいのでござりましょうか」
何時いつ眺めても年の此頃十七八にしか見えぬとか——彼奴あいつは大方禁制の切支丹伴天連きりしたんばてれんの秘法により、不老の魔術を行って、此の世を騒がす邪宗と見える。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
楽屋番の、この親爺には、たとえ切支丹伴天連きりしたんばてれんの法をわきまえている毛唐人にも、出来そうな事には思えませぬ
京鹿子娘道成寺 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
彼はお湯を沸かして死体を洗うて納棺をすませ、お爺さんの要求するままに切支丹伴天連きりしたんばてれんの秘法で加持祈祷を執り行い、お坊さんの読経代だけを節約した。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
切支丹伴天連きりしたんばてれんの南蛮趣味。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
どうしたことか切支丹伴天連きりしたんばてれんの妖術ででもあるかのごとく、すうとその姿が見えなくなったので、丁度そこへ配下の者をのけぞらしておいて、逸早く走りつけた京弥共々
南蛮渡来の玉乗りも、むろんその切支丹伴天連きりしたんばてれんが世を忍んだ仮の姿で、岡っ引き長助を殺した直接の下手人は、催眠の術にたけていたおでん屋親子とみせかけているその両名でした。