切下髪きりさげがみ)” の例文
顕文紗けんもんしゃの十徳に薄紫の法眼袴。切下髪きりさげがみにはたった今櫛の歯を入れたばかりです。平素いつもと少しの変わりもない扮装よそおいをして居るのでした。
正雪の遺書 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
切下髪きりさげがみの品のいゝ老婦人が出て来て、「あなたが和作さん? ふうむ。わたしはあなたのお父さんを、よう存じてをりますよ」かう和作の顔をのぞき込むやうにして云つた事がある。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
切下髪きりさげがみ頭巾ずきんかぶって、ちょうどな、羊羹ようかん切って、茶を食べてや。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌日のこと、切下髪きりさげがみにした女が突然私の家へやって来た。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)