凄愴せいさう)” の例文
結末、死刑場のあたりは流石に凄愴せいさうたるものがあつたが、これとても作者の心持見方から来た凄愴ではない。事件から生れ、事件に附帯した凄愴たるに過ぎない。
文壇一夕話 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
月の光は青白く落ちて、一層凄愴せいさうとした死の思を添へるのであつた。人々は同じやうに冷い光と夜気とを浴び乍ら、巡査や医者の来るのを待佗まちわびて居た。あるものは影のやうにうづくまつて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)