冠木かぶき)” の例文
その門から一二間の広さでゆるやかに曲りながら十四五間ほど小砂利が敷かれて、其処にまたつたのからんだ古びた冠木かぶき門がある。
村住居の秋 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
ある暖かい日曜に、関さんとつれだって、羽生の原という医師いしゃのもとにてもらいに出かけた。町の横町に、黒い冠木かぶきの門があって、庭の松がこい緑を見せた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そのくつは霜のいと夜深きに、空谷を鳴らして遠く跫音きょうおんを送りつつ、行く行く一番町の曲がり角のややこなたまで進みけるとき、右側のとある冠木かぶき門の下にうずくまれる物体ありて、わが跫音あしおとうごめけるを
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)