六歳むとせ)” の例文
詳しく申せば長い物語で、それももう六歳むとせほど昔のことでござりまするが、そもそもの事の起こりは、あの美男相撲と評判の江戸錦様がもとでござります。
やがて壽永じゆえいの秋の哀れ、治承ぢしようの春の樂みに知る由もなく、六歳むとせの後に昔の夢を辿たどりて、直衣なほしの袖を絞りし人々には、今宵こよひの歡曾も中々に忘られぬ思寢おもひねの涙なるべし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
雪山に六歳むとせし身の如何いかにして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
おもへば、はや六歳むとせのむかしとなりぬ、われ身にわづらひありて、しばらく此地にかくたりき。
清見寺の鐘声 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
六歳むとせまえにそのときご病身の主人権之丞様を毒殺いたし、みずから遺言書をこしらえつくって、養子の内約あったごとくに装い、りっぱなお血筋の江戸錦様を巧みに放逐いたしましたうえ