入來いらつ)” の例文
新字:入来
『何でも一通り東京の事知つてなくちや、御奉公に上つても困るから、私と一緒に入來いらつしやい。教へて上げますから。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
萎びた黒繻子の帶を、ダラシなく尻に垂れた内儀おかみに、『入來いらつしやい。』と聲をかけられたお定は、もうキヤベーヂといふ語を忘れてゐたので、唯『それを』と指さした。葱は生憎あひにく一把もなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)