兇状持きょうじょうも)” の例文
「これを御覧ごらん!」とたもとからわらじの先を示して、「ね、このとおり生れ故郷の江戸でさえあたしゃ旅にいるんだ。江戸お構え兇状持きょうじょうもち。 ...
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「どうして、どうして、この釘勘の役儀から言えば、姿を見たのが百年目というやつで、決して、見のがせない兇状持きょうじょうもちの大物でございます」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俺に人を隠匿かくまえというのか。そりゃ大方謀叛人むほんにんとか兇状持きょうじょうもちとか、ろくな奴じゃあるめえ。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いっそ叩っ殺して大川へでも放りこみてえところだ、だがそうすりゃあこっちも兇状持きょうじょうもちになるから、このさきうろうろできねえように片輪にして、それで勘弁してやろうというわけだ、これで文句はねえだろう」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「奉行所へまいれとあらば、決して拒みはいたさぬが、われら、夜盗にもあらず、また兇状持きょうじょうもちでもござらぬ。どういう理由でお引き立てなさるか、その儀だけを承知いたしたい」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)