傍輩ほうばい)” の例文
そう思って、とこう見するうちに、女中はそれが養竹さんに相違ないとめた。そしてやしきに帰ってから、これを傍輩ほうばいに語った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
認められました、傍輩ほうばいの噂にもなりお師匠さまからも折紙をつけられるというところまでいったのです。そのとき、わたくしは茶の湯をやめました
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
で、幸子よりも直接の被害者である傍輩ほうばいの女中達の方が真っ先に悲鳴を挙げた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
りよと一しょに奥を下がった傍輩ほうばいが二三人、物珍らしげに廊下に集まって、りよが宿の使に逢うのを見ようとしている。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五百なぞも屋敷住いをして、役人に物を献じ、傍輩ほうばい饗応きょうおうし、衣服調度を調ととのえ、下女げじょを使って暮すには、父忠兵衛はとしに四百両を費したそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
光尚に阿部の討手を言いつけられて、数馬が喜んで詰所へ下がると、傍輩ほうばいの一人がささやいた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それがしは故殿様にも御当主にも亡き父にも一族の者どもにも傍輩ほうばいにも面目がない。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
傍輩ほうばい小幾こいくさんと呼ばれたのまで、僕の耳に留まったのである。その小幾が頻りに児島に話し掛けている。児島は不精々々に返詞をしている。聞くともなしに、対話が僕の耳に這入る。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
なるほど。ようわかりました。実は傍輩ほうばいが言うには、弥一右衛門殿は御先代の御遺言で続いて御奉公なさるそうな。親子兄弟相変らずそろうてお勤めなさる、めでたいことじゃと言うのでござります。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)