偽名ぎめい)” の例文
旧字:僞名
或る男がいて、女を偽名ぎめいで呼びよせる。そこで宿のがらんとした日を利用して、鍵を手に入れ、女を誘ってその浴室にはいりこむ。
浴槽 (新字新仮名) / 大坪砂男(著)
そして、賊の姿を一目見るやいなや、これこそ、外務省の辻野氏と偽名ぎめいした、あの人物にちがいないと証言しました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ええ、いってくれなくても結構よ。……要するに、あんたは、偽名ぎめいして、あんなところに隠れているのね」
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ウム、方々ほうぼう落武者おちむしゃ浪人ろうにんで、めしえないさむらいなどは、よく名のある者のすがたと偽名ぎめいをつかって、無智むち在所ざいしょの者をたぶらかして歩く手輩てあいがずいぶんある。おおかたそんな者たちだろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)