偏僻へんぴ)” の例文
長い曲りくねった路をドライヴしているうちに思うことは、こんな偏僻へんぴな所に、自動車も何にもない頃どうして住んでいたろうという事である。
バークレーより (新字新仮名) / 沖野岩三郎(著)
そこで鈴川主水は義弟の佐野松と、愛弟子の杵太郎と、下男の猪之松だけを從へ、偏僻へんぴな千駄木螢澤ほたるざはに隱れて、再び芽の出る日を待つてゐたのでせう。
偏僻へんぴなところにあった先生の家のすぐ前には、汽車の高架線があって、錦糸堀きんしぼりの停車場の構内になっていた。夜分静かに話にふけっていると、汽車がごうごうと通り過ぎてゆく。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
そこは平橋村へいきょうそんと言って、ある海岸から余り遠くもないごくごく偏僻へんぴな河添いの小村で、戸数がやっと三十くらいで、みな田を植えたり、魚を取ったりそういう暮しをしている間に
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
鈴川主人も惡人方に荷擔かたんして、お拂ひ箱になり、藝名を隱して母方の姓を名乘り、散々の惡事で取込んだ金を持つて、螢澤ほたるざはといふ偏僻へんぴなところに籠り、氣に入りの色子を集めて