何年いつ)” の例文
何年いつであったか、おもとと、鍛冶かじいけのそばで会った時に、わしは、およそのことを察していた。今日のことがなければよいがと案じていました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠い九国への旅立なれば、帰るのが何年いつになるやら、……まずまず今宵は拙者のために、貴用をのばしてくられよ
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
閉ぢたるまゝの大門は何年いつぞやの暴風雨あらしをさながら、今にも覆へらんさま危ふく、松はなけれど瓦に生ふる草の名の、しのぶ昔しはそも誰れとか、男鹿やなくべき宮城野の秋を
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれは何年いつ頃でございましたでしょうか、四谷辺で或る後家が殺された事がございます。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
この窟の中で何年いつか焚火した事があるものと見え蘚苔せんたいに封ぜられた木炭の破片を発見した事である、この外には這松はいまつの枯れて石のようになりたる物二、三本とうさぎの糞二、三塊ありしのみである
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)