何国いずく)” の例文
旧字:何國
大切の預り息子、昨日より出でて帰らざれば、手分けしてたずぬるといえども、地理をも知らぬ他国のこと、いずれを何国いずくとわかつべし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
この上はただ尼とやならむ。巡礼とやならむ。何国いずくの御方か存じ参らせねど、此の上の御慈悲おんなさけに、そのすべ教へて賜はれかしと、砂にひれ伏して声を忍ぶていなり。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
強犯されて一首をくちずさむも、万国無類の風流かも知れぬが、昔は何国いずくも軍律不行届ふゆきとどきかくのごとく、国史に載らねど、押勝の娘も、多数兵士に汚された事実があったのを、妙光女の五百人に二倍して
上見ぬわしの所業なりしが、去年今時分にもあらん、ちょうどあなたのようなる人、何国いずくよりともなく忽然こつぜんと来たって、かれと碁の勝負あり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)