低徊ていくわい)” の例文
この三通りの浅草のうち、僕のもう少し低徊ていくわいしたいのは、第二の浅草、——活動写真やメリイ・ゴウ・ランドの小屋の軒を並べてゐた浅草である。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
先に立つた見物人が足をとゞめてもとの墓地の名やたま/\ある墓標のぬしの姓氏を読んだり、又英米の旅客りよかくが自身の名を石壁せきへきの上にとゞめたりするので生きた亡者まうじやの線は幾度か低徊ていくわいする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
※ンチ、バルトロメオ、ラフワエル、リツピ、チチアノ等の傑作の多い中に、チチアノの花神フロラ、ラフワエルの自画像、ヂヨツトのマドンナの前にはしばら低徊ていくわいせざるを得なかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)