伝奏てんそう)” の例文
入洛じゅらくすると即日、彼は参内さんだいしていた。天機奉伺てんきほうし伝奏てんそうを仰いで、その日はもどり、あらためて堂上の月卿雲客げっけいうんかくを招待して、春の大宴を張った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
打てば響くような京都の空気の中で、人々はいずれも伝奏てんそうからの触れ書を読み、所司代がお届けの結果を待った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
月も星もない闇の空が、その人達をおおうていた。遥か彼方の伝奏てんそう屋敷の方から、ワーッ、ワーッというときの声が起こった。だんだんこっちへ来るらしかった。が、急に北へれた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「花を見るにはどっちがよかろう、伝奏てんそう屋敷か山県やまがた邸か」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
伝奏てんそうの公卿が、奏した。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)