伎芸ぎげい)” の例文
むつかしい語を使うことを許されるならば、私はこれを信仰の合理化または呪法じゅほう伎芸ぎげいとなって行く過程と認めているのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
材能さいのう伎芸ぎげいを以て奉承するは男芸者の職分である。廉恥を棄てて金銭を貪るものとするは、そのあえてせざる所である。紫玉が花山を排したのは曲が花山にあったのである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
全盛期を過ぎた伎芸ぎげいの女にのみ見られるような、いたましく廃頽はいたいした、腐菌ふきん燐光りんこうを思わせる凄惨せいさん蠱惑力こわくりょくをわずかな力として葉子はどこまでも倉地をとりこにしようとあせりにあせった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
舞まいは越前幸若えちぜんこうわかなどと同系統の、民間の古風な伎芸ぎげいで、一派の家筋の者がこれを生計としていたのが、能や歌舞伎に押されて亡びてしまった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)