仰云おつしや)” の例文
お兄さまを苦しめるやうな便りを差し上げては不可いけないとあんなにまで仰云おつしやいましたけれ共、お兄さまのお心を痛めるとは十分存じながらも奈何どうしても書かずにはすまされません。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「そんな水臭いこと仰云おつしやつちや厭」千登世は怒りを含んだ聲で言つた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
しかし昂奮が去ると「あゝ、なんにもかも因縁因果といふもんぢやろ。おつかア諦めよう。……仕方がない。敏雄の成長を待たう。それまでに俺が死んだら何んとせうもんぞい」斯うも仰云おつしやいました。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)