仮名文かなぶみ)” の例文
旧字:假名文
行成風こうぜいふうの美しいそして余りに上手な尼の仮名文かなぶみは彼女の力ではいつも判読に骨が折れて、まどろいかなしみを味わうのだった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洗礼そそがれし仮名文かなぶみ御経みきやうにぞ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
寝相のわるい彼の枕元の下へ、彼女は、宵に書いておいた仮名文かなぶみの幼稚な置き手紙をしのばせておき、そして勝手口から手さぐりで外へ出た。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、手にした仮名文かなぶみをなつかしみ、さてまた、これがその人の子息かと、ひと間のうちに、しげしげと見て。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尊氏の寄進状、義詮よしあきら御教書みきょうしょ、清子の仮名文かなぶみ、上杉、細川、足利一族の下知状などである。私はすぐ清子の一通へとびつくように顔をよせた。見事な美しい筆である。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)