仕止しと)” の例文
が、彼はきあきしてくる。ことに、何ひとつ仕止しとめず、見栄みえという支えがなくなると、もうだめだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
そうだとすればおれは一層いっそうおもしろいのだ、まあそんな下らない話はやめろ、そんなことは昔の坊主ぼうずどもの言うこった、見ろ、向うをかりが行くだろう、おれは仕止しとめて見せる。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「へえ、大分いるにやいますがね、近頃は戦争で鉄砲の音がやかましいものですから、みんな紀州筋へ逃げ込んで、やっと五日もかかって、こいつを一つ仕止しとめたのでございます」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蜀の先鋒を砕くには、まず彼を仕止しとめる計からさきに立てなければなるまい
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やっと仕止しとめたなんかという椿事ちんじもあった——これは余談だが、さて闘牛場では、こうして運んで来た牛を、当日まで野庭コラレと呼ぶ別柵内に囲っておいて市民の自由観覧に任せ、いよいよ開演という四
鶉は、地べたの上で、犬が立ち止まっているその鼻先で、仕止しとめたのである。はじめ、彼は、土の色をした丸い小さな球のようなものを、見るともなしに見据みすえていた。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
鷓鴣しゃこが舞い立つ。さもなければ、兎が飛び出す。そこで、にんじんが、(帽子を下へおろすか、または、最敬礼の真似をするかで)、ルピック氏は、失敗しくじるか、仕止しとめるか、どっちかなのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)