仁和加にわか)” の例文
「どうしたどころかい、近頃評判なもんだ。これで五丁町を踏鳴ふみならすんだぜ、お前も知ってるだろう、一昨年おとどし仁和加にわか狒々ひひ退治の武者修行をした大坂家の抱妓かかえな。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
桜の仲之町の道中も、仁和加にわかも見た。金屏風きんびょうぶを後にして、アカデミックな椅子いすに、洋装の花魁おいらんや、芝居で見るような太夫たゆうは厚いふきを重ねて、椅子の上に座り前に立派な広帯を垂らしているのを見た。
気候はとにかく、八畳の表座敷へ、人数が十人の上であるから、縁の障子は通し四枚とも宵の内から明放したが、夜桜、仁和加にわかの時とは違う、分けて近頃のさびれ方。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)