五里霧中ごりむちゅう)” の例文
しかしこのことも、博士が意識を恢復かいふくして、遭難談をくわしく述べてくれる日までお預けとしなければなるまい。今一人の人物については、全く五里霧中ごりむちゅうである。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
歯痒はがゆく思うことがあるが、この私の書物を読む人も、主人公である私が、何か五里霧中ごりむちゅうに迷った形で、探偵をやるのだといいながら、一向いっこう探偵らしいこともせず
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかれども俳句をものする人は初めは五里霧中ごりむちゅうに迷ふが如く、他人任せに句を作るが如き感あり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
或る人が見ただけで早急に火中してしまったと伝えられているから(事実はそうでないかも知れない。すくなくも、近親の間にだけは、披露されたと見るが当然の事かも知れないが)真の事情というものは五里霧中ごりむちゅうのなかにあるといってもよい。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
説明を聞いて、共に五里霧中ごりむちゅうにあった刑事連もひとしく同意見をべるに到った。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)