五反田ごたんだ)” の例文
五反田ごたんだの、島津公分譲地の傍に三十円の家を借りて住んだ。Hは甲斐甲斐かいがいしく立ち働いた。私は、二十三歳、Hは、二十歳である。
早く瓦斯避難室にしなければなりません。私は東京品川区の五反田ごたんだでは防護団の班長をしています。後備軍曹で、職業は鍛冶屋です……
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
字の名前としてはこれが一番割・二番割または丑年うしどし縄受というような形で残っているが、それからまた一筆の大きさによって五反田ごたんだ・三反田という。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
五反田ごたんだの円宿のマスターに紹介してもらって、この方面へ転じたはなしをしました。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ゆき子は眼をみはつた。いつか、二度ほど逢つた、富岡の妻のおもかげが、まぶたに浮んだ。富岡をつけまはつてゐる時に、五反田ごたんだの家の近くで、細君に逢つた時の印象が忘れられなかつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
五反田ごたんだですよ。心細いですな。いて置きます」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
本所ほんじょ。鎌倉の病室。五反田ごたんだ同朋町どうほうちょう和泉町いずみちょう柏木かしわぎ新富町しんとみちょう。八丁堀。白金三光町しろがねさんこうちょう。この白金三光町の大きな空家あきやの、離れの一室で私は「思い出」などを書いていた。天沼あまぬま三丁目。天沼一丁目。
十五年間 (新字新仮名) / 太宰治(著)