乾涸ひか)” の例文
「昔」を負うて孤独ひとりの路を喘いでゐる僕は乾涸ひからびた朽木のやうな侘びしさに溺れてしまふ。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
晴れるとも曇るとも思案の付かない空が下界を蔽い、本郷一帯の高台たかだいを吹き廻る風はヒューヒュー鳴って、大学前の大通りを通る程の物が、カサカサと乾涸ひからびた微かな音を立てゝ居た。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)