乳臭児にゅうしゅうじ)” の例文
「まだ人なみのこつがらも持たぬ乳臭児にゅうしゅうじの分際で、宗規しゅうきみだし、烏滸おこがましい授戒など受けると、この叡山の中にただはおかぬぞと」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
理想などということを言い出すと、まだ世間を知らぬ乳臭児にゅうしゅうじのように一言のもとに言い消される。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「今度こそ遁がさぬ、乳臭児にゅうしゅうじめが——ッ」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とつ乳臭児にゅうしゅうじ。——汝もはやもう少しは成人していたかと思っていたが、案外なるたわけ者であった」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「舎弟を破るものは、恐らく今日のお供中にはおりますまい。けれど、長兄あに十兵衛のわざくらべれば、まだまだ又十郎などは、乳臭児にゅうしゅうじといってよいくらい、段ちがいにござります」
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、同じそういう取りまきでも、徳川家康のような“付き者”となると、これはまた大いにおもむきのちがったものだ。世間の何かもろくに知らない乳臭児にゅうしゅうじ信雄とは、とても同日の論ではない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乳臭児にゅうしゅうじ夏侯楙を一つかみに」と、趙雲は一陣に駈け向おうとした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)