乗越のっこ)” の例文
旧字:乘越
乃至ないし五十噸の越後丸、観音丸などと云うのが、入れ違いまする煙の色も荒海を乗越のっこすためか一際濃く、且つ勇ましい。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
浅草寺の鐘の声だと、身投げをすべき処だけれど、凡夫さかんにして真昼間まっぴるま午後一時、風は吹いても日和はよしと……どうしても両国を乗越のっこさないじゃ納まらない。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この枝折戸しおりどの掛金は外ずしてありましょう。表へだと、大廻りですものね。さあ、いらっしゃい。まこと開かなけりゃ四目垣ぐらい、破るか、乗越のっこすかしちまいますわ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)