丸鋸まるのこ)” の例文
うっとりとした晩春の空気を驚かして西隣に在る製板所の丸鋸まるのこが、けたたましい音を立てて材木をじり始めた。
晩春 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いくらか似た音を求めれば、製材所の丸鋸まるのこで材木を引き割るあの音ぐらいなものであろう。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
今日も裏の材木堀の向うに在る製板所の丸鋸まるのこが木材を切り裂き始めた。その鋭い音が身体に突き刺すように響いた。すると今までうとうと眼を閉じていた政枝は「ああ」とうめいて両手で耳をふさいだ。
勝ずば (新字新仮名) / 岡本かの子(著)