丸本まるほん)” の例文
もっとも「女郎花由縁助刀おみなえしゆかりのすけだち」という丸本まるほんにはなっているが、芝居や講談の方には採用されず、したがってあまりに知られていないらしい。
かたき討雑感 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二番目は菊五郎の「紙治かみじ」これは丸本まるほんの「紙治」を舞台に演ずるやう河竹新七かわたけしんしちのその時あらた書卸かきおろせしものにて一幕目ひとまくめ小春こはるかみすきのにて伊十郎いじゅうろう一中節いっちゅうぶしの小春を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
普通「丸本まるほん」と呼ばれる版本に対し、特にこれらのものは「切本きりほん」と呼ばれる。前者は完本である故細字であるが、後者はある場をのみ選んであるため大字である。だが共に合せて一書体を代表する。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
老人は義太夫ぎだゆう丸本まるほん三百余種を所蔵しているそうで、わたしはその中から二百種ほど借りて読んだ。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)