丸刀がんとう)” の例文
切出きりだし信親のぶちか丸刀がんとう丸山まるやま。切出というのは鉛筆削りなどに使う、斜に刃のついている形の小刀であり、丸刀というのは円い溝の形をした突いて彫る小刀である。
小刀の味 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
小学校の七つか八つ位の時、父から切出、丸刀がんとう間透あいすきなどを三本ばかり貰った。其の時に初めて父は私を彫刻の方へ導いて行くということをはっきり見せた訳だ。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
私はこの像製作の少し前頃から丸刀がんとうを使い始めたのではないかと思う。丸鑿まるのみは、製作上の実際から考えると飛鳥あすか時代にはなく、飛鳥時代は平鑿ばかり使ったのだろうと思う。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
然しその時小刀以外に初めて丸刀がんとうを使い初めるので、非常に進んだという気がして嬉しい。それが済むと浮彫になる。浮彫は数知れず手本があって、大抵は狩野派の粉本からとって当てがわれる。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)