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中折帽
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なかおれ
ここにも一羽、とおなじような色の
外套に、
洋傘を抱いて、ぬいだ
中折帽を持添えたまま
葎の中を出たのであった。
多時思入った風であったが、ばさばさと
引裂いて、くるりと丸めてハタと向う見ずに
投り出すと、もう一ツの柱の
許に、その
蝙蝠傘に掛けてある、主税の
中折帽へ留まったので
まことに硯を持って入って、そのかわり
蝙蝠傘と、その柄に引掛けた
中折帽を忘れた。
茶の
中折帽を無造作に、黒地に茶の千筋、平お召の一枚小袖。
と
俯向けに、
中折帽ぐるみ顔を
圧えて