両股りょうまた)” の例文
旧字:兩股
人間の死体のみが持つ虚静の美をこの娘は生ける肉体に備えていた。小初は、櫓板の端にすらりと両股りょうまたを踏み立て、両手を前方肩の高さにのばし、胸を張って呼吸を計った。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ばんくんの鼻翼がちぢまり、そしてもしも彼が犬だったとすればの話だが、尻尾を両股りょうまたのあいだへ巻き込むように感じられた。これを一言で云えば、おそれをなした、というふうにみえたのだ。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)