世迷よま)” の例文
だが、目はぬのをもってふさがれ、両手りょうては杭にしばりつけられている二人の怒声どせいは、むざんな役人たちの心に、ありふれた、世迷よまごととしかひびかなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平安の都で世迷よまごとに身をやつしている連中の中で、この丘のこっち側の世界の素晴しさに気の付いてる奴は、一体何人いるだろうかね? それにほら、見たまえ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
と、まだあの文句を世迷よまごとのように口号くちずさむかと思うと、誰彼の区別なく傍に来た者を掴まえては
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
検事局の堂々たる世迷よまごとをはぎ取られ、むごたらしく白日の明るみにさらされ、正当の視点にすえられ、本来あるべき場所に、実際ある場所に、本当の環境に、恐るべき環境におかれ
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
世迷よまいごとを書く、ぼそぼそ苦情をいう、やきもちを焼く、それだけのことさ。
ころびばてれん、ころびばてれんと、衆人にさげすまれて来た永年の忍苦も、なんのためだ! ああそんなことも、今はいうほど身を苦しめる世迷よまごと、おれにすべての望みはくなッた。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)