不在證明アリバイ)” の例文
新字:不在証明
店からも母屋おもやのどの部屋からも自由に出入りが出來、その意味から言へば、店中の者は一人も不在證明アリバイを持つて居ないことになります。
これは結構過ぎるほど結構な不在證明アリバイです。すると、向島で一日菊屋の同勢を見張つたといふ、頬冠りの男は一體誰でせう。
斯うなると、完全な不在證明アリバイを持つて居るものは粂吉の外にはなく、事件は相變らず混沌たる姿のまゝ、もとの振り出しへ戻る外はありません。
岩松は百方辯解しましたが、本所に亥刻よつ近くまで居たといふ、新吉の不在證明アリバイを知らなかつたので、此上は救ふ道も盡きて了つたと思つたのでせう。
主人が殺されたと思はれる亥刻半よつはん(十一時)頃には、三人共明らかすぎる程明らかな不在證明アリバイがあり、わけても新六などは誰の眼にも怪しく映りながら
お舟と和助と口を合せて、不在證明アリバイを作らないとも限らないわけですから、平次はその裏を掻いて、昨夜ゆうべお舟の家を覗いた者を搜し出さうとするのです。
平次と八五郎は手を廻して、家中の者の昨夜の動きを當つて見ましたが、それ/″\立派過ぎるほどの不在證明アリバイを持つて居て、手のつけやうがありません。
福之助は、いかにも沸然ふつぜんとしました。伯父が殺された當夜、此家に居なかつたといふ、上等過ぎるほど上等の不在證明アリバイが、この名家のすゑの中年男をカツとさした樣子です。
氣の弱い新吉は、自分の臆病さを責め乍らも、不在證明アリバイを拵へずには居られなかつたのでせう。
そしてその三人共、自分の身を護るほどの不在證明アリバイらしいものを一つも持つて居ないのです。
尤も、お吉殺しの時の不在證明アリバイは持つて居ませんが、それには深い仔細のあることでせう。
和七と仙之助は一應不在證明アリバイを持つて居るやうですが、それが完全とは言ひきれません。
お玉と關係のありさうな、二人の若い男は、兎も角も不在證明アリバイを持つてをります。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
市ヶ谷の喜三郎はれ込んで、市五郎を縛つたり、庄吉を縛つたり、手當り次第に暴權をふるひましたが、結局は上等過ぎる反證や不在證明アリバイがわかつて、おめ/\と繩を解く外はなかつたのです。
不在證明アリバイがはつきりして居るので、三日目には許されて歸り、いよ/\主人勘十郎を怨んでゐるといふ、昔同藩の浪人者、阿星源之丞を搜すより外には無くなりましたが、この大兵たいひやうで髯が濃くて
不在證明アリバイは吾妻屋の屋根の下に住んでゐる者に限り極めて完全です。
春日町まで行つて、源三郎の不在證明アリバイを確めて來るつもりでせう。
平次は細かく店中の者の不在證明アリバイを調べて行くのです。
器用過ぎるほど器用な不在證明アリバイを持つて居ります。
不在證明アリバイを拵へる細工さへ知らないのでせうか。
これは上等過ぎるほどの不在證明アリバイです。
不在證明アリバイは完全です。