下請したうけ)” の例文
各職の下には、下請したうけがあり、小頭こがしらがあり、現場頭があって統率されていたが、要するに、それらの組々の名は、責任範囲の名称だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまり下請したうけ制度で、請負配下が鋳造した判金を、金銀改役後藤庄三郎ごとうしょうざぶろうが検定極印ごくいんをおして、はじめて通用することになっていたが、元禄八年に、幕府の財政の窮迫を救うため
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それには、彼は学校を出て以来、安飜訳の下請したうけだとか、お伽噺だとか、まれには大人の小説だとかを書いて、それを方々ほうぼうの雑誌社に持込んでは、からくも其日のたつきを立てているのでした。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
車につんで、溜池ためいけの方にある被服廠ひふくしょう下請したうけをしている役所へはこびこまれて行く、それらの納めものが、気むずかしい役員のためにけちをつけられて、素直に納まらないようなことがざらにあった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私は参謀第四部で設営局の仕事の下請したうけをやって居りましたが、ここにいるミセス太田や、世間の日本人が考えているような、儲かるなんてえ性質のもンじァありません……民間の仕事なら
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)