下流かわしも)” の例文
夜十二時すぎでもあったか、難波橋なにわばしの上に来たら、下流かわしもの方で茶船ちゃぶねのってジャラ/\三味線を鳴らして騒いで居る奴がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼は昨日きのう一昨日おとといもその一つの松の浮き根に腰をかけて雑誌を読んでいたので、その日もまた昨日腰をかけて親しみを持っていた浮根へ往って腰をかけながら下流かわしもの方を見た。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わたくしは橋の欄干にもたれ、下流かわしもの公園から音頭踊おんどおどりの音楽と歌声との響いて来るのを聞きながら、先程お雪が二階の窓にもたれて「三月になるわネエ。」といった時の語調や様子を思返すと
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
貝十郎は下流かわしもを眺めた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)